三円で果亭(くわてい)の山水(さんすゐ)を買つて来て、書斎の床(とこ)に掛けて置いたら、遊びに来た男が皆その前へ立つて見ちや「贋物(がんぶつ)ぢやないか」と軽蔑した。滝田樗陰(たちたちよいん)君の如きも、上から下までずつと眼をやつて、「いけませんな」と喝破(かつぱ)してしまつた。が、こちらは元来怪しげな書画を掘り出して来る事を以て、無名の天才に敬意を払ふ所以(ゆゑん)だと心得てゐるんだから、「僕は