ぞくちょうこうどうざっき
続澄江堂雑記

冒頭文

一 夏目先生の書 僕にも時々夏目(なつめ)先生の書を鑑定(かんてい)してくれろと言ふ人がある。が、僕の眼光ではどうも判然とは鑑定出来ない、唯まつ赤な贋(に)せものだけはおのづから正体(しやうたい)を現はしてくれる。僕は近頃その贋(に)せものの中に決して贋にものとは思はれぬ一本の扇(あふぎ)に遭遇した。成程(なるほど)この扇に書いてある句は漱石(そうせき)と言ふ名はついてゐても、確かに夏目先生の書

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日