てんしん
点心

冒頭文

御降(おさが)り 今日(けふ)は御降(おさが)りである。尤(もつと)も歳事記(さいじき)を検(しら)べて見たら、二日(ふつか)は御降りと云はぬかも知れぬ。が蓬莱(ほうらい)を飾つた二階にゐれば、やはり心もちは御降りである。下では赤ん坊が泣き続けてゐる。舌に腫物(はれもの)が出来たと云ふが、鵞口瘡(がこうそう)にでもならねば好(よ)い。ぢつと炬燵(こたつ)に当りながら、「つづらふみ」を読んでゐ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日