しょじょさくよりけっこんまで
処女作より結婚まで

冒頭文

人並みの苦心をすることは決して苦心とはいえないでしょう。というのは、成功と失敗とに拘わらず、努力に就ての或る標準が予想されていて、その標準以上の努力をした場合でなければ、苦心といえないものだと思うからで御座います。ある一定の効果を挙げる為に当然支払わねばならぬというだけのものを支払った事は、それは敢て苦心という事が出来ないものだと思われます。 例えばキリストを主題とした小説を書こうとしま

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人倶楽部」1924(大正13)年1月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日