ありしまさんのしについて
有島さんの死について

冒頭文

有島さんの死は余りに私にとっては大きな事柄なので、この場合それに対して批判するというような気持になっていません。ただそれによって私が強い衝撃を受けた、その気持に就いてだけお話ししたいと思います。 森鴎外先生のなくなられたときにも私は、強い刺戟を私の胸に受けました。然し今度のことは私の全体を動かすほどの驚きでした。然し私はあの報道を手にすると共に、それは有島さんとして有り得べき事柄だと信じ

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1923(大正12)年7月10日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日