おもいだすこと
思い出すこと

冒頭文

レーク・Gへ行く前友達と二人で買った洋傘をさし、銀鼠の透綾の着物を着、私はAと二人で、谷中から、日暮里、西尾町から、西ケ原の方まで歩き廻った。然し、実際、家が払底している。時には、間の悪さを堪え、新聞を見て、大崎まで行き、始めて大家と云うものの権柄に、深い辱しめを感じたこともある。また、寛永寺の傍の、考えても見すぼらしい家を、探しあきて定めようとしたことなどもある。 丁度、その頃赤門の近

文字遣い

新字新仮名

初出

不詳

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日