ははとなる
母となる

冒頭文

一 姙娠(にんしん) 是より先き妾(せふ)の尚(な)ほ郷地(きやうち)に滞在せし時、葉石(はいし)との関係につき他より正式の申込あり、葉石(はいし)よりも直接に旧情を温めたき旨(むね)申来(まをしきた)るなど、心も心ならざるより、東京なる重井(おもゐ)に柬(かん)して其(その)承諾を受け、父母にも告げて再び上京の途(と)に就きしは廿二年七月下旬なり。此頃より妾(せふ)の容体(ようだい)尋常(

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆42 母
  • 作品社
  • 1986(昭和61)年4月25日