しみじみしたあいじょうとかんしゃと
沁々した愛情と感謝と

冒頭文

「禰宜様宮田」が、いつか単行本になる時があったら、是非云い添えたいと思っていたことを書きます。 あれは、そんなに大して大きなものでもなかったのに、非常に沢山の欠点を持っています。其等の欠点に対しての自分は、真個(ほんと)に何処までも謙譲ではありますけれども、此頃になって、あの作は私の一生の生活を通してかなり大切なものになって来ました。そして、その大切なものとなった原因は、自分にとってあの作を

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮」1917(大正6)年12月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日