さんかくとしかく
三角と四角

冒頭文

数学の中(うち)に幾何というものがある。幾何を学ぶにわ、是非とも定木(じょうぎ)が入る。その定木の中に、三角定木というのがある。——これわ大方諸君(みなさん)も御存じでしょう。 ところがこの三角定木、自分の体にわ、三方に尖(とが)った角のあるのを、大層自慢に致し、世間に品も多いが、乃公(おれ)ほど角のあるものわあるまい、角にかけてわ乃公が一番だと、たった三つよりない角を、酷(ひど)く鼻に

文字遣い

その他

初出

底本

  • 日本児童文学名作集(上)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1994(平成6)年2月16日