かいひいちようちょう
開扉一妖帖

冒頭文

ただ仰向(あおむ)けに倒れなかったばかりだったそうである、松村信也(しんや)氏——こう真面目(まじめ)に名のったのでは、この話の模様だと、御当人少々極(きま)りが悪いかも知れない。信也氏は東——新聞、学芸部の記者である。 何しろ……胸さきの苦しさに、ほとんど前後を忘じたが、あとで注意すると、環海ビルジング——帯暗白堊(はくあ)、五階建の、ちょうど、昇って三階目、空に聳(そび)えた滑かに巨

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成9
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年6月24日