しんろのまき
神鷺之巻

冒頭文

一 白鷺明神(しらさぎみょうじん)の祠(ほこら)へ——一緑の森をその峰に仰いで、小県銑吉(おがたせんきち)がいざ詣でようとすると、案内に立ちそうな村の爺さんが少なからず難色を顕(あら)わした。 この爺さんは、 「——おらが口で、更(あらた)めていうではねえがなす、内の媼(ばばあ)は、へい一通りならねえ巫女(いちこ)でがすで。」…… 若い時は、渡り仲間の、のらもので、猟夫

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成9
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年6月24日