なんちしんじゅう
南地心中

冒頭文

一 「今のは、」 初阪(はつざか)ものの赤毛布(あかげっと)、という処(ところ)を、十月の半ば過ぎ、小春凪(こはるなぎ)で、ちと逆上(のぼ)せるほどな暖かさに、下着さえ襲(かさ)ねて重し、野暮な縞(しま)も隠されず、頬被(ほおかぶ)りがわりの鳥打帽で、朝から見物に出掛けた……この初阪とは、伝え聞く、富士、浅間、大山、筑波(つくば)、はじめて、出立(いでた)つを初山と称(とな)うるに傚(なら

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成6
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年3月21日