きのこのまいひめ
茸の舞姫

冒頭文

一 「杢(もく)さん、これ、何(なあに)?……」 と小児(こども)が訊(き)くと、真赤(まっか)な鼻の頭(さき)を撫(な)でて、 「綺麗な衣服(べべ)だよう。」 これはまた余りに情(なさけ)ない。町内の杢若(もくわか)どのは、古筵(ふるむしろ)の両端へ、笹(ささ)の葉ぐるみ青竹を立てて、縄を渡したのに、幾つも蜘蛛(くも)の巣を引搦(ひっから)ませて、商売(あきない)をはじめた。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成6
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年3月21日