しろがねのえず
白金之絵図

冒頭文

一 片側は空も曇って、今にも一村雨(ひとむらさめ)来そうに見える、日中(ひなか)も薄暗い森続きに、畝(うね)り畝り遥々(はるばる)と黒い柵を繞(めぐ)らした火薬庫の裏通(うらどおり)、寂しい処(ところ)をとぼとぼと一人通る。 「はあ、これなればこそ可(よ)けれ、聞くも可恐(おそろ)しげな煙硝庫(えんしょうぐら)が、カラカラとして燥(はしゃ)いで、日が当っては大事じゃ。」 と世に疎

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成6
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年3月21日