うたのたてやましんじゅういっきょく |
唄立山心中一曲 |
冒頭文
一 「ちらちらちらちら雪の降る中へ、松明(たいまつ)がぱっと燃えながら二本——誰も言うことでございますが、他(ほか)にいたし方もありませんや。真白(まっしろ)な手が二つ、悚然(ぞっ)とするほどな婦(おんな)が二人……もうやがてそこら一面に薄(うっす)り白くなった上を、静(しずか)に通って行(ゆ)くのでございます。正体は知れていても、何しろそれに、所が山奥でございましょう。どうもね、余り美しくって
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 泉鏡花集成6
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年3月21日