ようそうき
妖僧記

冒頭文

一 加賀の国黒壁(くろかべ)は、金沢市の郊外一里程(りてい)の処にあり、魔境を以(もっ)て国中(こくちゅう)に鳴る。蓋(けだ)し野田山(のだやま)の奥、深林幽暗の地たるに因れり。 ここに摩利支天を安置し、これに冊(かしず)く山伏の住(すま)える寺院を中心とせる、一落(いちらく)の山廓(さんかく)あり。戸数は三十有余にて、住民殆(ほとん)ど四五十なるが、いずれも俗塵(ぞくじん)を厭(

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成4
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年10月24日