おんなきゃく
女客

冒頭文

一 「謹さん、お手紙、」 と階子段(はしごだん)から声を掛けて、二階の六畳へ上(あが)り切らず、欄干(てすり)に白やかな手をかけて、顔を斜(ななめ)に覗(のぞ)きながら、背後向(うしろむ)きに机に寄った当家の主人(あるじ)に、一枚を齎(もた)らした。 「憚(はばか)り、」 と身を横に、蔽(おお)うた燈(ともしび)を離れたので、玉(ぎょく)ぼやを透かした薄あかりに、くっきり描き出

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成4
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年10月24日