じょしのどくりつじえい
女子の独立自営

冒頭文

人の性情にも体質にも万人共通の点即(すなわ)ち類性と、個人独得の点即ち個性とがあります。前代の社会心理の公準は類性のみを見て人の全部だと誤解した嫌(きらい)がありました。似た所ばかりを集めて一つの型を空に作り、その型を標準として逆に一般の人間を律しようと致し、殆(ほとん)ど人の個性というものを眼中に置いていませなんだ。例えば初めから男というものはこういうものだ、女というものはこういうものだと決めて

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人の鑑」1911(明治44)年4月

底本

  • 与謝野晶子評論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年8月16日