ふじんとしそう
婦人と思想

冒頭文

行うということ働くということは器械的である。従属的である。それ自身に価値を有(も)っていない事である。神経の下等中枢で用の足る事である。わたしは人において最も貴いものは想うこと考えることであると信じている。想うことは最も自由であり、また最も楽しい事である。また最も賢(かしこ)く優れた事である。想うという能力に由(よ)って人は理解もし、設計もし、創造もし、批判もし、反省もし、統一もする。想うて行えば

文字遣い

新字新仮名

初出

「太陽」1911(明治44)年1月

底本

  • 与謝野晶子評論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年8月16日