ギリシャおよびローマとこうりょう
希臘及び羅馬と香料

冒頭文

希臘の大昔には美しい『にほひ』は神聖なる存在として貴ばれた。そして香料に関しての諸般の知識は美の神アフロディーテの使ひ女エオーネの無分別から人間界に過つて伝へられたと云はれて居る。それは兎も角も、昔の希臘では上流人は特に香料を愛好し、毎日香油を身体にぬる風習があり、従つて希臘全盛時代に於ける香料の消費額は莫大なものであつた。神々を祭るに必ず香料香華を捧げ、葬儀や祝祭に際しては特によい香料や香水を多

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆48 香
  • 作品社
  • 1986(昭和61)年10月25日