序 私は今現代哲学に就いて、教師風の説明を与えることを目的としているのではない。無論おのずからそういう結果になった部分もあるし、又そうなることを避けねばならぬ理由もないのだが、併しいつも私にとって、もっと遙かに大事な問題は、吾々が実際に生活しているこの現在の社会に触れて発生する処の、時事的な或いは又原則的な問題なのであって、こうした時事的又は原則的な問題をば、時事的で且つ原則的な形で(そ