向うの小沢に蛇(じゃ)が立って、 八幡(はちまん)長者の、おと娘、 よくも立ったり、巧んだり。 手には二本の珠(たま)を持ち、 足には黄金(こがね)の靴を穿(は)き、 ああよべ、こうよべと云いながら、 山くれ野くれ行ったれば………… 一 三浦の大崩壊(おおくずれ)を、魔所だと云う。 葉山一帯の海岸を屏風(びょうぶ)で劃(くぎ)った、桜山の裾(すそ)が、