あじさい
紫陽花

冒頭文

一 色青く光ある蛇、おびたゞしく棲めればとて、里人は近よらず。其(その)野社(のやしろ)は、片眼の盲ひたる翁ありて、昔より斉眉(かしず)けり。 其(その)片眼を失ひし時一たび見たりと言ふ、几帳の蔭に黒髪のたけなりし、それぞ神なるべき。 ちかきころ水無月中旬、二十日余り照り続きたる、けふ日ざかりの、鼓子花(ひるがお)さへ草いきれに色褪せて、砂も、石も、きら〳〵と光を帯び

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 花の名随筆6 六月の花
  • 作品社
  • 1999(平成11)年5月10日