がかとセリセリス |
画家とセリセリス |
冒頭文
1 それが癖(くせ)のいつものふとした出來心(できごころ)で、銀座(ぎんざ)の散歩(さんぽ)の道(みち)すがら、畫家(ぐわか)の夫(をつと)はペルシア更紗(さらさ)の壁掛(かべかけ)を買(か)つて來(き)た。が、家(うち)の門(もん)をはひらない前(まへ)に、彼(かれ)はからつぽになつた財布(さいふ)の中(なか)と妻(つま)の視線(しせん)を思(おも)ひ浮(うか)べながら、その出來心(できご
文字遣い
旧字旧仮名
初出
底本
- 新進傑作小説全集14 南部修太郎集・石濱金作集
- 平凡社
- 1930(昭和5)年2月10日