めでたきふうけい
めでたき風景

冒頭文

めでたき風景 奈良公園の一軒家で私が自炊生活していた時、初春の梅が咲くころなどは、静かな公園を新婚の夫婦が、しばしば散歩しているのを私の窓から十分眺めることが出来た。彼ら男女は、私の一軒家の近くまで来ると必ず立ちどまる。そこには小さな池があり、杉があり、梅があり、亭(ちん)があるので甚(はなは)だ構図がよろしいためだろう。 そして誰も見ていないと思って彼ら二人は安心して仲がいい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 小出楢重随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1987(昭和62)年8月17日