「しゃッ、しゃッ、しゃあっ!……」 寄席のいらっしゃいのように聞こえるが、これは、いざいざ、いでや、というほどの勢いの掛声と思えば可(い)い。 「しゃあっ! 八貫—ウん、八貫、八貫、八貫と十(と)ウ、九貫か、九貫と十ウだ、……十貫!」 目の下およそ八寸ばかり、濡色の鯛(たい)を一枚、しるし半纏(ばんてん)という処を、めくら縞(じま)の筒袖(つつッぽ)を両方大肌脱ぎ、毛だらけの胸へ、釣身(つりみ)