「——鱧(はも)あみだ仏(ぶつ)、はも仏と唱うれば、鮒(ふな)らく世界に生れ、鯒(こち)へ鯒へと請(しょう)ぜられ……仏と雑魚(ざこ)して居べし。されば……干鯛(ひだい)貝らいし、真経には、蛸(たこ)とくあのく鱈(たら)——」 ……時節柄を弁(わきま)えるがいい。蕎麦(そば)は二銭さがっても、このせち辛さは、明日の糧を思って、真面目(まじめ)にお念仏でも唱えるなら格別、「蛸とくあのく鱈。」な