ばんがり
鷭狩

冒頭文

一 初冬(はつふゆ)の夜更(よふけ)である。 片山津(かたやまづ)(加賀)の温泉宿、半月館弓野屋(ゆんのや)の二階——だけれど、広い階子段(はしごだん)が途中で一段大きく蜿(うね)ってS形に昇るので三階ぐらいに高い——取着(とッつき)の扉(ドア)を開けて、一人旅の、三十ばかりの客が、寝衣(ねまき)で薄ぼんやりと顕(あらわ)れた。 この、半ば西洋づくりの構(かまえ)は、日本

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成7
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日