ばいしょくかもなんばん
売色鴨南蛮

冒頭文

一 はじめ、目に着いたのは——ちと申兼ねるが、——とにかく、緋縮緬(ひぢりめん)であった。その燃立つようなのに、朱で処々(ところどころ)ぼかしの入った長襦袢(ながじゅばん)で。女は裙(すそ)を端折(はしょ)っていたのではない。褄(つま)を高々と掲げて、膝で挟んだあたりから、紅(くれない)がしっとり垂れて、白い足くびを絡(まと)ったが、どうやら濡しょびれた不気味さに、そうして引上げたものらしい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成7
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日