たまがわのくさ
玉川の草

冒頭文

——これは、そゞろな秋のおもひでである。青葉の雨を聞きながら—— 露を其のまゝの女郎花(おみなえし)、浅葱(あさぎ)の優しい嫁菜の花、藤袴、また我亦紅(われもこう)、はよく伸び、よく茂り、慌てた蛙は、蒲(がま)の穂(ほ)と間違へさうに、(我こそ)と咲いて居る。——添へて刈萱(かるかや)の濡れたのは、蓑にも織らず、折からの雨の姿である。中に、千鳥と名のあるのは、蕭々(しようしよう)たる夜半

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 花の名随筆10 十月の花
  • 作品社
  • 1999(平成11)年9月10日