やみよのうめ
闇夜の梅

冒頭文

一 エヽ講談の方の読物は、多く記録、其の他(た)古書等(とう)、多少拠(よりどころ)のあるものでござりますが、浄瑠璃や落語人情噺に至っては、作物(さくぶつ)が多いようでござります。段々種を探って見ると詰らぬもので、彼(か)の浄瑠璃で名高いお染久松のごときも、実説では久松が十五、お染が三歳(みッつ)であったというから、何(ど)うしても浮気の出来よう道理がござりませぬ。久松が十五の時、主人の娘お

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 圓朝全集 巻の一
  • 近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
  • 1963(昭和38)年6月10日