きく しょくもつとしての
菊 食物としての

冒頭文

菊の季節になつた。其のすが〳〵しい花の香や、しをらしい花の姿、枝ぶり、葉の色、いづれか人の心持ちを美しい世界に誘はぬものはない。然(しか)し取訳(とりわけ)菊つくりの菊には俗趣の厭ふべき匂(におい)が有ることもある。特(こと)に此頃流行の何玉何々玉といふ類、まるで薬玉(くすだま)かなんぞのやうなのは、欧羅巴(ヨーロッパ)から出戻りの種で、余り好い感じがしないが、何でも新しいもの好きの人々の中には八

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 花の名随筆10 十月の花
  • 作品社
  • 1999(平成11)年9月10日