とうかんのはんちょう
東漢の班超

冒頭文

一 數多き支那古今の人物の中に就いても、吾が氣に入つた人物といふと、一寸選擇に迷惑する。吾が輩の如き、史實調査に從事するものは、人物の表裏功過ともに承知するだけ、それだけ氣に入つた人物は見當り兼ねる。瑕疵のない人物といへば、孔子とか諸葛孔明とかを擧げねばならぬ。支那嫌ひで有名で、堯舜禹湯文武周公の所謂聖人を始め、支那の人物といふ人物に對して、惡罵を浴せかける本居宣長でも、殊に平田篤胤でも

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「大阪朝日新聞」1917(大正6)年1月17日~19日

底本

  • 桑原隲藏全集 第一卷 東洋史説苑
  • 岩波書店
  • 1968(昭和43)年2月13日