くうしゅうけいほう
空襲警報

冒頭文

日本海の夕日 大きな夕日は、きょうも日本海の西の空に落ちかかった。うねりの出て来た海上は、どこもここもキラキラと金色に輝いていた。 「美しいなあ!」 旗男(はたお)少年は、得意の立泳(たちおよぎ)をつづけながら、夕日に向かって挙手の礼をささげた。こんな入日(いりひ)を見るようになってから、もう三日目、いよいよお天気が定まって本当の真夏になったのだ。 「オイ旗男君。沖を向いて

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

底本

  • 海野十三全集 第4巻 十八時の音楽浴
  • 三一書房
  • 1989(平成元)年7月15日