せいだんつきのかがみ
政談月の鏡

冒頭文

一 政談月の鏡と申す外題(げだい)を置きまして申し上(あぐ)るお話は、宝暦(ほうれき)年間の町奉行で依田豐前守(よだぶぜんのかみ)様の御勤役中に長く掛りました裁判でありますが、其の頃は町人と武家(ぶげ)と公事(くじ)に成りますと町奉行は余程六(むず)ケしい事で有りましたが、只今と違いまして旗下(はたもと)は八万騎、二百六十有余頭(かしら)の大名が有って、往来は侍で目をつく様です。其の時の江戸

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 圓朝全集 巻の一
  • 近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
  • 1963(昭和38)年6月10日