ふしぎなるくうかんだんそう
不思議なる空間断層

冒頭文

友人の友枝八郎は、ちょっと風変りな人物である。どんなに彼が風変りであるか、それを知るには、彼が私によく聞かせる夢の話を御紹介するのが捷径(はやみち)であろう。 かれ友枝は、好んで夢の話をした。彼が見る夢は、たいへん奇妙でもあり、そして随分しっかりした内容をもっていて、あまり夢を見ることのない私などにとっては、美しくもあれば、ときにはまた薄気味わるく感ずることもあるのだ。(乃公(おれ)は夢

文字遣い

新字新仮名

初出

「ぷろふいる」1935(昭和10)年4月

底本

  • 海野十三全集 第4巻 十八時の音楽浴
  • 三一書房
  • 1989(平成元)年7月15日