うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島

冒頭文

川上機関大尉の酒壜 わが練習艦隊須磨、明石の二艦は、欧州訪問の旅をおえて、いまやその帰航の途にあった。 印度を出て、馬来(マレー)半島とスマトラ島の間のマラッカ海峡を東へ出ると、そこは馬来半島の南端シンガポールである。大英帝国が東洋方面を睨みつけるために築いた、最大の軍港と要塞とがあるところだ。 そのシンガポールの港を出ると、それまでは東へ進むとはいえ、ひどく南下航路をと

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

底本

  • 海野十三全集 第5巻 浮かぶ飛行島
  • 三一書房
  • 1989(平成元)年4月15日