いまわれわれのしなければならないこと
いまわれわれのしなければならないこと

冒頭文

かなりの復興したとはいっても、東京の街々はまだ焼あとだらけである。大きい邸跡の廃墟に石の門ばかりのこって、半ばくずれたコンクリート塀の中に夏草がしげっている。小さい道をへだてて、バラックのトタン屋根が暑い日をてりかえし、スダレの奥から大きな声でラジオのニュースが響いている。 「——して華々しい戦果をおさめました」 東京に、またこんなラジオがきこえはじめた。 広島を平和都市

文字遣い

新字新仮名

初出

「労働新聞」全労連機関紙、1950(昭和25)年7月7日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十六巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年6月20日