はんにん
犯人

冒頭文

国鉄のクビキリが人々の注目をあつめはじめると同時に、列車妨害の記事が毎日、新聞へ出るようになった。九州ではトンネルの入口にダイナマイトをしかけた者さえあった。 そしてそれらの新聞記事は、それらの妨害がどれも鉄道の専門知識をもったものによっている、といかにも国鉄労働組合員のしかもクビキリにつよく反対している部類の組合員の仕業のようにほのめかした。この列車妨害記事の出はじめたとき、全国の国鉄

文字遣い

新字新仮名

初出

「文化タイムズ」1949(昭和24)年7月27日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十六巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年6月20日