ほんとうのあいきょうということ
本当の愛嬌ということ

冒頭文

戦争中私たちは随分ひどい生活をしました。そして八月十五日が来た時、日本のすべての人々、とくに婦人たちの目には実に感慨深いなみだがうかんだと思います。これで惨虐なそして不合理な権力の抑圧は終ったと。戦争後私たちの生活は案外に複雑な矛盾で苦しみ、インフレーションで苦しんでいます。人の心も荒んでいます。こういう世相の中で私たちの求めているのは何でしょう。平和が来たというにふさわしい生活の安定と人間らしい

文字遣い

新字新仮名

初出

「民報」1947(昭和22)年7月5日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十六巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年6月20日