しゃかいせいかつのじゅんけつせい
社会生活の純潔性

冒頭文

私達が生きてゆく間には、千変万化の波瀾をくぐる。その波瀾の間に、人間として、強く、純潔に生きてゆくことは非常にむずかしい。現代に純潔は非常に少い。 純潔とはどういうことを意味するのだろう。人間が社会に生きてゆく態度として、純潔性は、その人々が社会に持っている歴史の意味を明瞭に自覚して、歴史が一人一人その人達に求めている道を、積極的に勇気をもって進んでゆく。そういう自然で正直な態度の中に、

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人朝日」1947(昭和22)年5月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十六巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年6月20日