『くにのあゆみ』について
『くにのあゆみ』について

冒頭文

去年の八月からきょうまで、十四ヵ月ほどの間、日本じゅう幾百万の国民学校の上級児童は、日本の歴史教科書というものを失っていた。 小学校令が行われ、国定教科書で教えるという方法がきまったのは明治何年であったか知らない。けれども、日本の子どもが歴史の教科書をもたなかったことはかつて無かったことなのであった。 その異常な経験におかれた日本のこどもがやっと新しい『くにのあゆみ』を持つこと

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人民主新聞」1946(昭和21)年10月31日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十六巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年6月20日