せんそうのファンタジイ
戦争のファンタジイ

冒頭文

1 すでに街娼のことについて屡々(しばしば)、僕はその実在についてのエピソードを書いた。 かの女たちの色彩の同一色であることは、労働者の持つ社会観が赤と黒によって染められたと同じく、かの女たちのイヴニング・ドレスの黒色と紅の一線が虹のように浮き、厚化粧に口紅の持つ特殊な色は、これはマドモアゼルでもなし、不良の女でもなし、ショップ・ガールでもない、商売女としての商標を明瞭に人々に感じさすところ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 吉行エイスケ作品集
  • 文園社
  • 1997(平成9)年7月10日