みのりをゆたかに
みのりを豊かに

冒頭文

やっと、ラジオの全波が聴けるということになった。 そのことが放送されたのは、九月下旬の或夜であった。田舎の家で、雑音だらけのラジオながら、熱心に九時のニュースをきき、世界の動きが身に伝わる感じでいたら、それにつづいて、局からのお知らせを申上げます、と全波聴取のことが告げられた。 日本のラジオが、今日まで国内放送しか聴かれず、全波は禁止されており、それを聴くことは犯罪として見られ

文字遣い

新字新仮名

初出

「人民評論」1946(昭和21)年1月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十六巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年6月20日