あすへのしんぶん
明日への新聞

冒頭文

一 新聞というものについての考えかたも、それぞれの時代によって大きい変化を経て来ていると思う。 明治の開化期、日本にはじめて新聞が発刊された時分、それはどんなに新鮮な空気をあたりに息吹かせながら、封建と開化とが奇妙にいりまじって錯雑した当時の輿論を指導したことだったろう。論説を書いた人々は社会の木鐸であるというその時分愛好された表現そのままの責任と同時に矜持もあったことだと思う。或

文字遣い

新字新仮名

初出

「民報」1945(昭和20)年12月1、2日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十六巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年6月20日