べっこうばち
べつ甲蜂

冒頭文

春さき、はんの木山を歩くと、かげろふの糸のやうな白い毛がふわりと飛んで來て、顏や頭にひつかかる。ねば〳〵してうるさいので、取りすてようとしても中々離れぬ。地震蜘の糸だ。いぼとり蜘とも言つてゐる。巣へさはると、おこつて網全體を震動させる。はじめ巣をかける時、五六尺位長い糸を尻から手ぐり出して、空中に飛ばすのである。飛ばされた糸が何かに引つかかると、蜘の巣の幹線となるのだ。高い處からぶらんこして遠くへ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 雪あかり
  • 書物展望社
  • 1934(昭和9)年6月27日