えり

冒頭文

襟二つであった。高い立襟で、頸の太さの番号は三十九号であった。七ルウブル出して買った一ダズンの残りであった。それがたったこの二つだけ残っていて、そのお蔭でおれは明日死ななくてはならない。 あの襟の事を悪くは言いたくない。上等のオランダ麻で拵(こしら)えた、いい襟であった。オランダと云うだけは確かには分からないが、番頭は確かにそう云った。ベルリンへ来てからは、廉(やす)いので一度に二ダズン

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 諸国物語(上)
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1991(平成3)年12月4日