この対話に出づる人物は 貴夫人 男 の二人なり。作者が女とも女子とも云わずして、貴夫人と云うは、その人の性を指すと同時に、齢(よわい)をも指せるなり。この貴夫人と云う詞(ことば)は、女の生涯のうちある五年間を指すに定れり。男をば単に男と記す。その人いわゆる男盛りと云う年になりたれば。 貴夫人。なんだかもう百年くらいお目に懸からないようでございますね。 男。