みごとなおんな
みごとな女

冒頭文

人 あさ子 真紀 収 弘 豪奢(ごうしゃ)と言うのではない、足りととのった家庭。人形をかざったピアノが一つ、坐り机が一つ、縁先に籐椅子が二つ、卓。みるところ若い女の部屋らしい。 六月。 誰もいない。 あさ子。二十四。和服。身体つきは大柄で少し肥っているが美しい。時々片手を上げて指先で両の眉を内から外へ撫でつける癖がある。話をさせても他人の調子には頓着(とんちゃく)なく、緩(

文字遣い

新字新仮名

初出

「劇作」1934(昭和9)年11月

底本

  • 現代日本文學大系 83 森本薫・木下順二・田中千禾夫・飯沢匡集
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年4月5日