しんぺんざっき
身辺雑記

冒頭文

九月、十月、それから十一月とはなつた。隣家の門にからんだ蔦が這つて来て庭の一間ほどの竹垣で海老茶に枯れてゐる。雨が降る度に天井と畳と障子がぬれる。引越すつもりであつたが、そのうちには引越すことになつてしまつた。何のことはないのである。 × こゝに一つの変な文章がある。或る描写論なのである。私はその一部分(ママ)書き写して「左の一文を解釈せよ」といふやうなことで薄謝を呈することにして何処

文字遣い

新字旧仮名

初出

「南方詩人」1930(昭和5)年1月

底本

  • 尾形亀之助詩集
  • 現代詩文庫、思潮社
  • 1975(昭和50)年6月10日